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73年の歴史の幕を下ろした旭川「オモチャのたもちゃん」 気遣う市民の姿も

シャッターが下りた店の前で店主・金子影子さんと記念撮影する若者

シャッターが下りた店の前で店主・金子影子さんと記念撮影する若者

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 3月末で73年の歴史の幕を下ろした「オモチャのたもちゃん」 (旭川市3条8=平和通買物公園) に、店主の金子影子さんを気遣う市民が足を運んでいる。

ゼンマイが壊れているため「浮かしてあそぶだけ」の年代物のおもちゃも

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 戦後間もない1948(昭和23)年、旭川の繁華街の飲食店の一角で創業した同店。
戦後の復興、高度経済成長、国道を廃止し全国初の恒久的歩行者天国となった買物公園開設と、おもちゃ販売を通して旭川中心部のにぎわいを見守ってきたが、夫の保さんが昨年他界し、影子さんも90歳になったこともあり、楽しい思い出の中での閉店を決めた。

 「昔は朝8時から夜10時まで営業して、その後、主人は近所でリヤカーを借りて、夜中に6条13丁目にあった倉庫まで商品を取りに行っていたが、リヤカーに商品を積んで運ぶ主人はよほど怪しかったのか、警察に2回も捕まった」と大笑いし、思い出話が尽きない。

 閉店後の現在はシャッターを下ろし、市民になじみの街頭放送や店舗前のディスプレーも終了しているが、閉店作業を手伝う人が来たり、取引先との手続きなどで店に来る人の姿があったりするため出入り口部分のみ、わずかにシャッターを開けている。

 顔なじみも気遣って声を掛けに訪れているという。影子さんは、「3月の閉店セールは、ニュースを聞きつけた市民が大勢来店してくれた。毎日が好景気時のクリスマスのように大にぎわいで、閉店を盛り上げてくれた」と、うれしそうに感謝の言葉を口にする。

 まだまだ在庫品が残っており、閉店を知らなかった市民が時折来店することがあるため、しばらく続く閉店作業中は販売可能だという。ちょうど来店した若者は「欲しいものが見つかった」と喜んでいた。

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