鷹栖町議会議員が作った昭和怪獣映画感満載のユニークな議会告知チラシ・ポスター「総天然色 ヨサン対ギカイ 戦え!予算審査特別委員会」が現在、SNSで話題を集めている。チラシを作ったのは鷹栖町議会議員の片山兵衛(ひょうえ)さん。
それまで事務局が担っていた議会チラシを片山さん自らが作り始めたのは、2019年の鷹栖町議会議員選挙が3期連続で無投票となり、議会運営に関心を持ってもらおうと議会改革の一環で始めたのがきっかけ。
鷹栖町議会事務局によると、チラシはこれまで「少年漫画誌の表紙風」「週刊誌の中づり広告風」のものなどが片山さんの手により作られ、折り込みチラシとして町内で配布されてきた。片山さんが議員活動の一環で制作しているため、同町の予算は印刷代しか使われていないという。
当初は一風変わったチラシに町民からさまざまな意見があったが、「議会に関心が沸いた」「傍聴に興味を持った」と議会傍聴者が目に見えて増えるなど「概ね好評」だという。今年はコロナ禍もあり配布を見合わせウェブなどでの頒布にとどめたため、残念ながら傍聴者は少なかったというが、SNSではクリエーター顔負けの仕上がりやこだわりが人気を集めている。
例年以上に大きな反響を集める中、「鷹栖町を初めて知り興味を持った」「住んでみたい」という声があることを知り、片山さんは「議会に対する町民の理解が得られ、かつインパクトのあるものを目指してきたが、チラシをきっかけにSNSで町のファンを増やすことにもつながった。鷹栖町に来てもっと知ってもらい、住んでもらえると、もっとうれしい」と表情がほころぶ。
今年のポスターの大きな要素となっているのが、「昭和感」漂う「怪獣映画」をほうふつとさせる劇画タッチのデザイン。
ネット上で人気の架空映画「ゴジラ対若大将」のポスターが好きという片山さんは、自身の子どもが幼い頃、子どもと飼っている犬との写真をコラージュして似たような作風の年賀状を作ったことがあり、今回のチラシ制作に当たっては内容を「ヨサン対ギカイ」という「凄絶」な戦いに設定。12人の議員は、一部を除き過去の一般質問の際の写真を手描き調に加工して配置し、背景などの色調や構図、フォントや文字組みなどにもこだわり、出来栄えは往年の怪獣映画のポスターそのもの。全体を通しては、令和6年度までの行財政改革の中での厳しい予算審議を、緊張感、緊迫感で表現したという。
「戦い」が昨日で終わったことについて片山さんは、「予算が可決し行財政改革への付帯決議も行われて議会は閉会したが、議会報の誌面作り、広報の仕事はここからが本番」と笑い、「より開かれた議会として町民に興味を持ってもらい、参加できる試みを続けていきたい。町外からも注目されるので、議員、議会の質も、もっと高めていきたい」と意気込む。