上川倉庫蔵囲夢(くらいむ)デザインギャラリー(旭川市宮下通11)で7月17日から、童謡詩人・金子みすゞの貴重な資料を集めた展覧会「金子みすゞの世界展」が開催される。
「金子みすゞの世界展」を主催する「童謡詩人金子みすゞの世界展実行委員会」の打合せの様子
大正末期から昭和初期にかけ、「私と小鳥と鈴と」「大漁」などの童謡詩を発表し、「若き童謡詩人の中の巨匠」とまで称賛されながらも26歳の若さでこの世を去った金子みすゞ。東日本大震災の直後には、ACジャパンのテレビCMに作品「こだまでせうか」が起用され反響を呼んだ。
今年は、そのみすゞ没後90年に当たり、旭川みすゞ会発足20周年を記念して同展を開催。旭川でみすゞの展覧会が行われるのは2回目。
旭川とみすゞのつながりは、同会代表の村田和子さんが、1999(平成11)年に東京の大丸デパートで開催された日本で初めてのみすゞ展を観覧し、あまりもの素晴らしさに感動したことがきっかけ。
村田さんは、下関・大阪・東京の3カ所で終わるはずだった同展に掛け合い旭川での開催に向け奔走し、2000(平成12)年1月、旭川市民文化会館(7条通9)展示室で開催した北海道初の同展は、厳冬にもかかわらず、期間中、全道から6000人余りのみすゞファンが来訪し、みすゞファンの裾野の広さと思いを実感したという。2001(平成13)年には継続的な活動を行うため同会が発足し、全国にみすゞ会ができるきっかけとなった。反響も大きく、みすゞ展は最終的に12カ所で開催された。
今回21年ぶりの開催となる同展では、「みすゞの蘇り」のきっかけとなった3冊の遺稿手帳や3歳の娘が発した言葉をみすゞ本人が手書きした言葉集「南京玉」、着物など貴重な資料やパネル70点を多くの写真や書簡と共に展示し、詩に触れるだけではなくみすゞの世界観とその生涯をたどる。
7月17日には、みすゞの遺稿を発見しその後の作品集に携わった山口県金子みすゞ記念館館長の矢崎節夫さん、25日には、みすゞの大ファンでみすゞの精神の深さに魅せられた理論物理学者の佐治晴夫さんが登壇する特別講演会を開催。それぞれの視点で金子みすゞの世界を読み解く。
村田さんは、「みすゞは紫式部と共に世界に出ていける詩人で、彼女の普遍的な視点は世界的な広がりを見せている。今回の展示は、生誕から今日に至るまでのみすゞの集大成的な内容となっており、『みすゞの世界』に触れひとときの慰めをいただいてほしい。『みすゞの世界』が世代を超えて広く伝われば、これ以上の幸せはない」と感慨を語る。
開館時間は10時~17時(最終日は15時まで)。入館料は、一般=1,000円、高大生・ハートフル=500円、中学生以下無料。8月1日まで。特別講演会は200席限定。入場無料。整理券は旭川信用金庫本支店で、先着順で配布中(残席わずか)。